もっと深く、小説を楽しんでみよう
小説を読んで「なんとなくよかったな」で終わるのももちろん素敵ですが、正直、それだけではもったいないと思います。
一歩踏み込んで深く読むことで、私たちは登場人物の気持ちや物語の背景にある社会や価値観を感じ取ることができます。
また、作品をじっくり考え、他の人と意見を交換することで、今まで気づかなかった新しい視点を得ることができ、世界がぐっと広がります。
私が主催する「若い読者のための本とマンガの会(わかどく会)」では、こうした気づきや価値観の広がりを大切にしています。
その中でよく使うのが、読後の「問いかけ」です。
実際、私が教員として働いていたときも、さまざまな問いかけを通して小説の面白さを深く考え、感じ取ってきました。
今回ご紹介するリストは、「若い読者のための本とマンガの会(わかどく)」で使われている問いかけを集めたものです。
ぜひふだんの読書にそっと添えてみてください。
ちょっとした問いをきっかけに、見えてくるものがガラッと変わるかもしれません。
🟠登場人物を掘り下げる問い
- この登場人物は、なぜそんな行動をとったと思う?
- あなたがこの人物の立場だったら、どうしたと思う?
- あなたに1番似ているキャラは誰?その理由は?
- 作者はこの人物にどんな感情を抱いていると思う?
- このキャラの性格ってどこに出てる?
🟢物語の構造や展開に注目する問い
- この物語の“転機”はどこだったと思う?
- 最後まで読んで、最初の印象とどう変わった?
- 結末は予想通りだった?意外だった?
- 別の視点(脇役や敵など)から見るとどう見える?
- 物語の時間の流れや構成は、どう工夫されていた?
🔵テーマ・メッセージを考える問い
- この小説、何についての話だったと思う?
- 読んでみて考えたことや思い出したことは何?
- 心に残った一文やフレーズは?また、それはなぜ?
- この作品からどんな価値観が伝わってきた?
- 今の社会や自分の生活とのつながりを感じたところはあった?
🟣感情・体験とつなげる問い
- 読んでいて一番感情が動いた場面は?どうして?
- 自分の経験と重ねて読んだ部分はある?
- どんな人にこの作品をすすめたい?理由は?
- 読む前と後で、自分の中で変わったことはある?
- もし物語の続きを書くなら、どんな話にしたい?
🟡言葉・表現に注目する問い
- 印象的だったセリフや言葉は?
- この作家の文体、どんな特徴があったと思う?
- 描写で「目に浮かんだ」ところはあった?
- タイトルにはどんな意味が込められていると思う?
- 無駄だと思った(or逆にすごく効いてる)表現は?
🟤自由な視点で広げる問い
- この作品に別のタイトル(orキャッチコピー)をつけるなら?
- 同じテーマで他の作品を思い出した?何と共通してた?
- 映像化するとしたら誰に演じてほしい?なぜ?
- 「読書会で話してよかった」と思ったのはどこ?
- この作品を通じて、他の人の読みで印象が変わった部分は?
読書がもっと楽しくなる、問いかけの力
小説を深く読むことは、ただ物語を追うだけでは得られない発見をもたらします。
問いかけを通じて、作品の中に隠された意味やテーマが見えてきて、登場人物や物語への理解が深まります。
また、他の人と対話しながら読むことで、新たな視点を得たり、自分の考えを広げたりすることができ、読書の楽しみが何倍にもなります。
もし、この問いかけを通してもっと深い読書体験をしてみたくなったら、ぜひ「若い読者のための本とマンガの会(わかどく会)」に参加してみてください。
わかどくでは、毎回の読書会でこのような問いかけを使って、参加者同士の対話を楽しみながら本を深く読み解いています。
新しい価値観や視点に出会える場所として、あなたの参加をお待ちしています。
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